不惑草紙

編集者、ライター。紙とネット、リアルとバーチャルを行き来する日々のあれこれ。

中年のヒーロー

 

唐沢寿明主演の「イン・ザ・ヒーロー」という映画を観た。映画やドラマなどでヒーローのスーツを着てスタントするスーツアクターが主人公の作品。素顔をさらす俳優とは違い、決して一般には知られない裏方だ。福士蒼汰が扮する若手人気イケメン俳優との交流を通じ、物語は進んでいく。

 

一見ノーテンキな夢追い人に見える主人公は、自分を見下した感じの若手イケメン俳優に対し、臆することなく、かといって威張るわけでもなく接する。もちろん説教オヤジでもない。


中年サラリーマンになぞらえるならば、会社では存在も知られないような部署で黙々と作業をこなしてきたベテラン技術職と、海外でMBAを取得した英語ペラペラのイケメン若手社員の交流といったところか。


自分の仕事に誇りを持ちつつ、日々精進する。周りには自然体で接し、教えを乞う若者に対しては惜しみなく自身の経験やノウハウを伝える。時には共に汗を流す。格好いいではないか。

 

「映画の世界だから」と一蹴することなかれ。夢を売るのも映画の役割の一つだ。中年のリアルヒーローを見事に描ききった作品で、久々にすがすがしい気分になれた。

 

スタントなどアクションシーンも見応えあり。友情出演した松方弘樹の殺陣はさすが。エンドロールで流れる主題歌はどこぞのアニソンの歌手の曲かと思ったら、その昔一世を風靡したあの有名ロック歌手のもの。おじさん世代にとっては最後までしびれさせてくれる仕掛けが満載だった。