不惑草紙

編集者、ライター。紙とネット、リアルとバーチャルを行き来する日々のあれこれ。

ジェイソン・ステイサムがスティーブン・セガール化している件


運び屋、殺し屋、元刑事、犯罪者など、裏社会に生きるマッチョな男をやらせたらハマり役のジェイソン・ステイサム。銃、ナイフ、バット、ありとあらゆる武器を使い回し、悪者をボコボコにするナイスミドル。おまけに車の運転が超うまい。電話で「いまからそっちに行くっ」と凄まれたら、死を覚悟しなければならない。喧嘩はめっぽう強いのに、女には優しい。そんな彼の主演作品はほとんど観ている。


テレビのインタビューで「俺なんか、ただの禿げたおっさんさ」などと謙遜していたが、猫背に見えてしまうほど発達した広背筋とストレートがフックにならない程度に隆起した大胸筋。元水泳の飛び込み選手だったとあって、芯がブレない体幹の強さ。中年男の憧れの的である。シュワちゃんやスタローンなど現実離れした風貌のアクション俳優よりも、リアリティがある。


最近、そんなジェイソン兄貴がスティーブン・セガール化しているのではないかという疑念が渦巻いてきた。昨年末の映画専門チャンネル「ムービープラス」が延々とジェイソンの映画を流していた。しかもムービープラスのあおりが凄い。「ジェイソン・ステイサムと年越し!大晦日に出演作13本をノンストップで放送」。サザンと、ではなくジェイソンと、である。


ムービープラスはよく「沈黙の…」シリーズで知られる、スティーブン・セガール主演作の一挙放映をやっている。それもかなりの頻度だ。内容がどれも似ており、最終的には悪者を格闘技で痛めつけてやっつけるという勧善懲悪。安定感抜群である。ジェイソン作品も、主人公の身分や状況設定が変わる以外は、基本的に敵をやっつけておしまい。アクションが全くない映画も無くはないが、人を三人くらいは痛めつけておかないと、演技派では無いので、観客が寝てしまう。


このままでは、マズい。スティーブンセガール化を防ぐ手立てを講じなければならない。