不惑草紙

編集者、ライター。紙とネット、リアルとバーチャルを行き来する日々のあれこれ。

住み替えの自由

 

ここ数年で賃貸住宅は完全な借り手市場になった。特に安定した収入があって都心勤めの手取りがそこそこある独身の若手にとっては、選択肢が広がっている。

 

東京都心の新築マンションはワンルームでも二ケタはするが、築20年や30年といった古いアパートやマンションを改装したおしゃれな感じの手頃な物件が増えてきた。しかも、ナチュラルリフォームと言って、床を無垢板に変えたり、リフォーム中の物件を見せてくれたりする業者も現れた。

 

住み心地に関わるキッチンやトイレ、バスなども清潔でおしゃれな感じにしてくれる物件も人気。

 

十数年前、独身時代に住んでいたワンルームは、JR中央線で新宿から10分の高円寺、駅から徒歩3分の好立地だったが、何しろ狭くて居心地が悪かった。家賃7万3千円で、部屋の広さは17平米、ユニットバスでトイレと風呂が一緒。扉は内側に二つに折れるプラスチックタイプで、締めていても用を足す音が漏れる。女の子など呼べない部屋だった。


さすがに5万円ではムリだろうが、8万円くらい出せば、23区内でもおしゃれな賃貸に住むことは可能だ。ぼろい、古い、暗い物件は借り手がいない。収益を上げたいオーナーにとっては、リフォームしたら家賃を少し高めに設定しても入居者は集まるという。

 

少子化や家余りも悪いことばかりではない。借り手にとっては魅力があって住み心地の良い物件が探せるし、敷金・礼金といった悪しき慣習も無くなりつつあり、引っ越しもしやすくなった。こうした環境の変化は新たな賃貸ビジネスやリフォームビジネスを生み出している。